@article{oai:bunka.repo.nii.ac.jp:00000774, author = {Han, John J. and Kubota, Aya}, journal = {文化学園大学紀要. 人文・社会科学研究}, month = {Jan}, note = {スタインベックが「エデンの東」を発表したのは1952年のことだが,作中のキャシー・エイムズは,2012年現在でも,アメリカ文学の読者によって最も嫌悪されるキャラクターとして5本の指に入っている。復讐心の強い偏執狂,自己破滅型の生き方に周囲の者を巻き込んでいく不可思議な力の持ち主といえば,「白鯨」のエイハブ船長もまたしかりなのだが,彼が自らの船の乗組員同様,我々読者をも力強く引きつけていくのとは異なり,作中大きな負の力を発揮しているキャシーの方はといえば,彼女の自律的世界に読者を引き込むだけの魅力には乏しい様子である。キャシーのモデルはスタインベックの二度目の妻グウィンであると見る世間の眼を欺くように,作家自身は,「彼女のような人間は,多く存在する」と書き,その性質にイヴやデリラのような女性に潜む普遍的な邪悪さを与えようとはしたものの,この登場人物の描き方は一貫性を欠いている。別れた妻という理解しきれなかった存在への憤りが意識的無意識的にスタインベックの筆を走らせ,キャシーを悪に駆り立てる動機はほとんど呈示されることなく,彼女は一方向から平板的に描かれている。そしてまた,作品の他の部分では全知であり読者が全幅の信頼を寄せる他ないナレーターにまで,「キャシーは,理解不能な存在である」と言わせてしまっている。キャシーは,スタインベックが血の通う人間として描ききれなかった女性である。作家たるもの,理解しきれないものを感情的に描くことはならない,という戒めの一例と言えよう。}, pages = {71--81}, title = {報復的要素 : 「エデンの東」における不可解なキャシーを読み解く}, volume = {21}, year = {2013} }