@article{oai:bunka.repo.nii.ac.jp:00000733, author = {久保田, 文}, journal = {文化女子大学紀要. 人文・社会科学研究}, month = {Jan}, note = {紀要14集の“John Steinbeck’s Last Warning”で述べた通り,1960年代のスタインベックは,21世紀に悪化することとなる先進国における文明病の芽を見て取り,真剣に憂えていた。人間性のうちの何が,物質面で豊かな社会における悪と病いにつながってしまったのだろうか?我々の社会はなぜ,スタインベックの言う「無目的な動物小屋」になり下がってしまったのだろう?この先我々がとるべき道を探る前にまず,彼の作品の中からスタインベックが嫌悪したものを拾いあげ,これらを反面教師とすることが得策だと思われる。スタインベックは,人と他の動物に対する殺戮を恥ずべきものだと考えていた。そして,直接的に命を奪うもの以外にも,人の生き生きとした生命力を奪う社会の間違ったシステム,特に極端な機械化を危惧視していた。作品The Pearlの中で彼は,いつの世にもある人間性の中で最も悪しきものとして,“強欲”“憎悪”“冷淡”を挙げている。これらが行過ぎた機械化や大企業の強大化と結びついた時,人は大量生産の渦の中で,労働の意味と自分自身の意味を見失った。共同作業を忘れ,間違った個人主義に向かった我々は,より冷淡で貪欲になり,他者や世界を簡単に憎悪するようになってしまった。先進国では,金銭と引き換え得る物と便利さがあふれる中,人々の関係や命に関することまでもが流れ作業的に扱われ,スタインベックの危惧していた通りの生気に乏しい無機質な時代が訪れている。}, pages = {131--140}, title = {ジョン・スタインベックの憎悪の対象}, volume = {16}, year = {2008} }