@article{oai:bunka.repo.nii.ac.jp:00000571, author = {勝山, 祐子}, journal = {文化学園大学・文化学園大学短期大学部紀要}, month = {Jan}, note = {ヴェルデユラン夫人は確かな趣味の持ち主で、室内装飾に関しては18世紀の貴族趣味が観察される。また、閉鎖的な芸術サロンを形成しており、そこでは芸術への信仰が要求されるがこれは見せかけに過ぎない。ルネ・ジラールによれば、夫人を真に動機づけるのは芸術への愛ではなく、社交界に君臨するゲルマント公爵夫人への「憎しみ」であり、社交界での台頭を密かに企てている。その武器となるのは音楽のメセナとしての活動だが、音楽における趣味は前衛的である。フランスでは受容の遅れたワーグナーに注目し、生前は評価の定まってい告かった架空の音楽家ヴァントゥイユの作品が世に認められるのを助ける。また、バレエ・リュスの後援者でもあり、その音楽がスキャンダルを巻き起こすストラヴィンスキーら最新のロシアの音楽家を擁護する。このような活動が夫人を「“新”音楽」の女神に押しあげるのである。大戦が始まるとワーグナーを始めとする敵国の芸術は嫌悪されるようになる。夫人はかつてはドレフュス派だったが、大戦が始まるとナショナリストの牙城を築きパリの社交界に君臨する。戦後には、寡婦となり破産したゲルマント大公と再婚しゲルマント大公夫人となって、名実共に社交界の女王となる。ヴェルデュラン夫人もいずれは代々のゲルマント大公夫人のように忘却されるだろうが、大袈裟に拍手喝采する姿に今のところは怪物的メセナとしての痕跡をとどめているのである。, 研究ノート, Research Note}, pages = {101--114}, title = {社交界の怪物あるいは「”新”音楽」の庇護者、ヴェルデュラン夫人 : 『失われた時を求めて』における音楽と社交界}, volume = {48}, year = {2017} }